『沈黙のパレード』はガリレオ・シリーズの集大成だと自負しています。
その作品が映画化されると知り、嬉しい反面、複雑なストーリーを伝えきれるのだろうかと不安でもありました。
しかし完成した映画を観て、驚き、感服しました。
説明するのではなく、感覚に訴えることで、ここまで伝えられるとは思いませんでした。
西谷監督はじめ、製作に関わったすべての皆さんに脱帽です。
福山さんや柴咲さん、北村さん、そのほかの役者の方々にもお礼をいいたいです。
コロナ禍で大変な中、よくぞ演じてくださいました。
おかげで物語の登場人物たちすべてに血が通っておりました。
ありがとうございます。


東野圭吾

沈黙のパレード

大ヒット上映中!

沈黙は、連鎖する ー それは罪か、愛か。

福山雅治 柴咲コウ 北村一輝 原作:東野圭吾「沈黙のパレード」(文春文庫刊) 脚本:福田靖 監督:西谷弘 音楽:菅野祐悟 福山雅治 主題歌:KOH+「ヒトツボシ」(アミューズ/ユニバーサルJ)

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メッセージ
本作品はHELLO! MOVIE方式による音声ガイド・日本語字幕に対応しています

「ガリレオ」シリーズ最高傑作、誕生!

INTRODUCTION
福山雅治演じる、変人だけど天才的頭脳を持つ物理学者・湯川学が、
不可解な未解決事件を科学的検証と推理で見事に解決していく、大人気・痛快ミステリーシリーズ。映画第3弾となる今作では、
柴咲コウ演じる、湯川のバディ的存在の刑事・内海薫と、北村一輝演じる、湯川の親友で内海の先輩刑事・草薙俊平が9年ぶりに再集結!
「ガリレオ」の醍醐味ともいえる、3人の絶妙なやりとりがスクリーンに帰ってきます!
原作はベストセラー作家・東野圭吾によるガリレオシリーズ第9弾「沈黙のパレード」。
多数の登場人物すべてに繊細な人間模様が描かれ、その絡みあう群像劇と二転三転する展開に一気に引き込まれる極上エンターテインメント。
『容疑者xの献身』『真夏の方程式』に続き、福田靖が脚本、西谷弘が監督を務める。
競演キャスト陣にも、椎名桔平、檀れい、吉田羊、飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、酒向芳、村上淳、岡山天音、川床明日香、出口夏希と超豪華なメンバーが集結。
そして、主題歌は9年の時を経て再結成となる福山雅治と柴咲コウによるユニット≪KOH+≫が担当。
福山雅治が書き下ろした主題歌「ヒトツボシ」は、物語に深く寄り添った、切なくも、愛にあふれた楽曲に仕上がり、柴咲の優しく力強い歌声が、心に響きます。
前2作を凌ぐ怒涛の展開と心揺さぶる人間ドラマに、シリーズ最高傑作の呼び声高い本作。どうぞ、ご期待ください。

SILENT PARADE

STORY
天才物理学者・湯川学の元に、警視庁捜査一課の刑事・内海薫が相談に訪れる。
行方不明になっていた女子学生が、数年後に遺体となって発見された。
内海によると容疑者は、湯川の親友でもある先輩刑事・草薙俊平がかつて担当した少女殺害事件で、完全黙秘をつらぬき、無罪となった男・蓮沼寛一。
蓮沼は今回も同様に完全黙秘を遂行し、証拠不十分で釈放され、女子学生の住んでいた町に戻って来た。
町全体を覆う憎悪の空気…。 そして、夏祭りのパレード当日、事件が起こる。蓮沼が殺された。
女子学生を愛していた、家族、仲間、恋人…全員に動機があると同時に、全員にアリバイがあった。そして、全員が沈黙する。
湯川、内海、草薙にまたもふりかかる、超難問...! 果たして、湯川は【沈黙】に隠された【真実】を解き明かせるのか...!?
今秋、新たなる「ガリレオ」ミステリーが幕を開ける!
このミステリー、実に面白い。
相関図は
こちら
湯川学
MANABU YUKAWA
福山雅治
MASAHARU FUKUYAMA
帝都大学の教授。
変人でありながら天才的な頭脳を持つ物理学者。
論理的な思考と科学的検証で難事件を解決し、
警察関係者から「ガリレオ」先生と呼ばれる。

内海薫
KAORU UTSUMI
柴咲コウ
KO SHIBASAKI
警視庁捜査一課の刑事。
正義感が強く、事件の真相解明のためには労をいとわず奔走。
湯川を信頼しており、捜査に行き詰まると湯川に相談に訪れる。
湯川のバディ的存在。

草薙俊平
SHUNPEI KUSANAGI
北村一輝
KAZUKI KITAMURA
警視庁捜査一課の刑事。
湯川と同じ帝都大学出身で、親友。
今作では、草薙が担当した事件で無罪になった男が、
再び他の事件の容疑者として浮上する。

並木祐太郎
YUTARO NAMIKI
飯尾和樹
KAZUKI IIO
殺害された女子学生の父で、
菊野商店街の定食屋「なみきや」を営む。
並木真智子
MACHIKO NAMIKI
戸田菜穂
NAHO TODA
並木祐太郎の妻。
祐太郎とともに「なみきや」を切り盛りする。
並木佐織
SAORI NAMIKI
川床明日香
ASUKA KAWATOKO
並木夫妻の長女。歌手になることを夢見る女子学生。
幼い頃から商店街の人々に愛されて育った。
並木夏美
NATSUMI NAMIKI
出口夏希
NATSUKI DEGUCHI
並木夫妻の次女。明るく人懐っこい性格で「なみきや」の看板娘に。姉の死を乗り越え、明るく振る舞う。
戸島修作
SHUSAKU TOJIMA
田口浩正
HIROMASA TAGUCHI
並木祐太郎の幼馴染で親友。
菊野市で冷凍食品会社「トジマ屋フーズ」を営む。
宮沢麻耶
MAYA MIYAZAWA
吉田羊
YOH YOSHIDA
菊野商店街にある老舗の本屋「宮沢書店」の店主。
菊野市で開催されるパレードではチーム菊野を取り仕切っている。
高垣智也
TOMOYA TAKAGAKI
岡山天音
AMANE OKAYAMA
菊野市にある印刷会社デザイン部に勤めている。
佐織の恋人。
増村栄治
EIJI MASUMURA
酒向芳
YOSHI SAKO
女子学生殺害事件の容疑者・蓮沼寛一の元同僚。
新倉直紀
NAOKI NIIKURA
椎名桔平
KIPPEI SHIINA
菊野市に住む音楽プロデューサー。
佐織の才能を見出し、スターに育て上げようとする。
新倉留美
RUMI NIIKURA
檀れい
REI DAN
新倉直紀の妻。
自身もかつて歌手として活動していた。
蓮沼寛一
KANICHI HASUNUMA
村上淳
JUN MURAKAMI
かつて草薙が担当した少女殺害事件で完全黙秘を貫き無罪となり、今回の事件で女子学生を殺害した容疑者として浮上する男。
キクノン
KIKUNON
菊野市の公式マスコットキャラクター。
菊の妖精をイメージして作られたいわゆる“ゆるキャラ”だが、初めて見た湯川は「全くゆるくない」とコメント。


福山雅治 コメント
楽曲『ヒトツボシ』はシンガー柴咲さんに当て書した一曲です。歌入れを行ってみて柴咲さんの表現が吹き込まれると、楽曲に血が流れ柴咲さんしか表現できない歌世界が現れました。劇場版ガリレオ第一弾、『容疑者xの献身』の主題歌『最愛』。その時もKOH+で担当させていただきました。その際の楽曲のテーマは、登場人物である石神の「決して報われることのない願い、その魂の鎮魂歌になれば」という思いで楽曲製作しました。今回も同様に登場人物の鎮魂歌として描きました。「いつか いつの日にか 君がわたしのこと 泣かずに思い出せるように 君の物語の邪魔しないように」「君が 誰か愛し 愛されますように 本当は少し寂しいけれど…」一見すると矛盾ある感情をひとつのサビの中に共存させました。一方向の感情だけではなく相反する感情が同居して初めて本当の感情になる。KOH+の作品づくりにおいては歌詞表現はその辺りをポイントに制作しています。今回、シンガーである柴咲さんの歌声と表現力が、人間が持つ苦しみや哀しみ、どうしようもない矛盾を、深く包み込んでくれています。楽曲『ヒトツボシ』、映画をご覧になってくださる皆様の心の深いところまで届くことを願っています。

柴咲コウ コメント
KOH+はガリレオシリーズから生まれたユニット。今回新たなレコーディングの際、訪れたプロデューサーが涙し聴いてくれた。彼らはガリレオシリーズをずっと愛し制作している人たち。『沈黙のパレード』の物語と呼応するようなこの曲が、同じくこのシリーズを愛してくださってる方々の心に深く届くと良いなと思う。
PRODUCTION NOTE
9年振りの映画化へ再始動
2018年10月に刊行された、東野圭吾の待望のガリレオシリーズ最新作『沈黙のパレード』。原作が発売されてすぐに、映画化としては実に9年振りの新作の企画が動き始めた。2007年連続ドラマからスタートし、映画は今回で3本目。製作陣と東野圭吾の間には、長きに渡る強い信頼関係が構築されている。そこには主人公・湯川学として主演を務め続ける福山雅治の絶対的な存在があり、本作のプロデューサーは真っ先に福山に新作の企画を伝え快諾を取り付けた。ここまでの長寿シリーズになると、読者の中にも湯川=福山とイメージ転換して読み進める者も多そうだが、「実際原作の湯川も福山さんに寄ってきてくれている感じはあります」と、プロデューサーは言う。その言葉通り、『沈黙のパレード』は小説としては初の湯川の“フレミングポーズ”が登場するなど、原作と映画の相思相愛の関係は続いている。「07年に一番最初の連続ドラマのお話を東野先生にご相談しに行った時、湯川の相棒を(男性の)草薙俊平ではなく、女性刑事に変えるというお許しをいただいた。その代わりその名前とキャラクター造形を先生が考えたいとおっしゃられて、内海薫というキャラクターが誕生したのです。そういう意味では最初から今に至るまで、原作とのいいコラボはできているのかなと思いますね」
そこから脚本開発が本格的に始まるが、これがなかなかに難航。その理由のひとつが『沈黙のパレード』は、登場人物の数がこれまでのシリーズの中でも群を抜いて多いから。
「ガリレオ史上最多人数かもしれません。犯罪トリックの仕掛けもかなり複雑なうえ、現代と過去が交錯するお話でもあるので、これを2時間程度の映画にまとめるのは予想以上に大変でした」
「一時は誰かのキャラと別のキャラを合体させてトータル人数を減らすことなども考えましたが、やはり1人1人がとても大事なキャラクターだったので、結局その方法は諦めました」と、プロデューサー陣は振り返る。脚本を全員でじっくり揉んでいく中、西谷弘監督が新たなアイディアを出し、さらにブラッシュアップさせていく作業が繰り返されていった。だが西谷弘監督と脚本家・福田靖の間にもやはりこれまでの信頼関係があるため、そのやり取りはスムーズ。当初は映画の尺にして4時間を超えるほどの大作だった脚本が、じっくりと精査され今の形に着地するに至った。「今回はこれまでのシリーズの中で一番原作に手を加えているのですが、その点を東野先生に快諾していただいたのも大きい」と、プロデューサーは続ける。まさに尺の関係上、映画では湯川と草薙の友情をより軸に置いたものになり、町の人たちの描写をややコンパクトにまとめざるを得なかったが、そのすべてに東野はOKを出したという。それは監督と福田が東野作品のキモを熟知し、例え何気ないシーンであっても“ここは落とすべきではない”というポイントを分かったうえで、全体をそぎ落としていったからに他ならない。
“変わらない”福山=湯川の魅力
9年振りの湯川=福山は、今や日本中が知っていると言っても過言ではないキャラクター。福山の代表作のひとつでもあるが、本作では9年振りとはとても思えないほど湯川が”変わらない”ことにも驚かされる。「最初に監督や福山さんとも話して、湯川が准教授から教授になっているということもあり、”彼も何かが変わっているのだろうか?”と全員で悩みました。でも考えた末、湯川は何も変わらないという結論になったんです」(プロデューサー)不変であることが湯川の魅力のひとつ。それを体現する福山の変わらない若々しさには、福山とは15年以上付き合いのあるプロデューサーも「福山さんは外見が全く変わらない。びくともしないんです。自分だけどんどん年を取っていくので非常に辛いです(笑)」と舌を巻く。「湯川はある意味ファンタジーの人」という言葉通りどこか現実離れしたキャラクターでもあるが、それを15年以上演じ続ける福山の日ごろからのストイックぶりは想像するに難くない。誰よりも湯川という男を熟知し、体に湯川がしみついているという福山は、時に「湯川ならこういう言い回しはしないのではないか」と監督と積極的に意見交換することもあった。「これは僕の想像ですが、福山さんご自身もある意味で湯川に近いところがあるのかもしれません。天才でありいい意味での変人である。そんな福山さんだから、これだけ長い間湯川でい続けられるのではないでしょうか」(プロデューサー)
変わらない湯川に対し、内海と草薙は確実に変わっている。特に内海は新人ではなくなり、成長した大人の刑事としての悩みを抱えているキャラクターでもある。そんな内海を演じる柴咲コウが久々にスクリーンに復帰するのも、本作では絶対に外せないトピックだ。『容疑者xの献身』で湯川と内海の関係はある種の成熟期を迎え、一段階上に上がった感がある。内海は湯川に振り回されていた新人刑事ではなくなりつつあった。このシリーズを大事にするからこそ、柴咲は自らシリーズの卒業を申し出たという。だが『沈黙のパレード』では、湯川と草薙を“繋ぐ”役割を担うのが他ならぬ内海。そこに2人の歴史をよく知らない新人刑事を配置するのは、物語上どうしても厳しい……。「原作を読んですぐに内海には出てもらわないと、この映画化は難しいと感じた」と言うプロデューサーは、早速柴咲にオファー。原作を既に読んでいた柴咲は内容を知ったうえで快諾し、ガリレオファン待望の“内海復帰”が実現したのだった。「柴咲さんはその時点で、内海が前面に出るのではなく、湯川と草薙をサポートする、見守る立場でいった方が今回はいいのではないか?とお話してくださいました。やはりシリーズへの理解がとても深い方なのだなと感動しましたね」
もちろん草薙役の北村一輝にもオファー。「北村さんはこの作品での草薙が大変重要な位置を占めることをお分かりになっていたので、出演を喜んでくれてはいましたが同時にかなり悩まれていました」本作はある事件に端を発し、草薙の決して忘れられない過去のトラウマ、警察組織や法律の深刻な暗部まで浮彫りにしていく。「クランクイン前から北村さんは監督と何度も役柄についてお話をされていましたし、撮影中もそれは続きました」北村の真摯な向き合いが、息をのむような迫真の熱演に繋がっていった。
そしてシリーズ史上最多の登場人物達には、個性豊かかつ豪華な俳優達が一同に集結。飯尾和樹、戸田菜穂、田口浩正、酒向芳、岡山天音、川床明日香、出口夏希、村上淳、吉田羊、檀れい、椎名桔平といった実力派俳優陣の贅沢過ぎる芝居合戦も見逃せない。
監督も思わず涙した福山のクランクイン
撮影は2021年の7月にクランクイン。初日は内海と草薙の警視庁内での会議シーンから始まった。ストーリーとしては前作から4年が経過しているという設定。内海は42歳になり、ホワイトボードの前で署員たちに事件の報告をしている姿にも、堂々としたベテラン刑事の風格が漂う。とはいえ無造作にひとつに結ばれた髪、見慣れたパンツスタイル、化粧っ気のない美しい横顔などはやはり驚くほど変わらない。そこに遅れて走り込んできた草薙だったが、ボードに貼られた1枚の男=蓮沼(村上淳)の写真を見たとたんに、激しく嘔吐するといういきなりヘビーな芝居場だ。西谷監督は草薙のただならぬ様子にざわつく署員役のエキストラ達に、「ホラー映画のように、恐怖を感じて下さい」とテキパキと指示。北村には「手に口を当てるのが間に合わないくらいの(せりあがってくる)感じで」と、草薙のトラウマとなっている蓮沼の存在を強烈に印象付ける芝居を演出する。柴咲のボードを使った報告説明の所作も、現場に帯同する警察監修スタッフとその都度確認を取りながら慎重にOKを出していく。計算され尽くした緻密な演出。画に少しでも不備があると感じれば、芝居を止めてでも即修正する監督のスタイルは、役者の芝居に対して絶大な信頼があるからこそだろう。終始クールで、こと現場ではあまり感情を表に出すことはないという監督だが、その数日後―― 。福山がクランクインし、久々に湯川と内海の対峙シーンを撮影した時は、「”グッときた。泣いちゃったよ“」と一言。確かにファミレスで話し込む2人の空気感、会話のテンポ感は年月の空白を全く感じさせない。我々がよく知っている湯川と内海の変わらぬ姿がそこにはあった。「すぐにあの空気感に戻れるのは本当にすごいし、お2人の時が止まったような変わらなさに監督も感動したのかもしれません」監督にとってもガリレオシリーズは体に染みついた作品で、プロデューサー陣から見ても本作での監督はいつもより笑顔が多くリラックスしているように映ったとか。もちろん現場にはその後も心地いい緊張感はキープされていたが、福山、柴咲、北村の3人が揃うシーンでは自然と”いつもの空気感“が出来上がる。お約束の湯川の実験(検証)シーンでも、それは顕著だった。「何の実験なんだ?」と尋ねる草薙に、「すいません、私に説明は無理です」と苦笑いで答える内海。その後湯川と一瞬目を合わせる内海だが、湯川のわずかにバカにしたような表情芝居と微妙な間がなんとも絶妙! 湯川に言われるがままに動いていく内海と草薙の芝居も、ガリレオシリーズの空気感そのものだ。監督も3人の芝居にはモニターを再確認することなく、サクサクとOKを出していく。そしてここから湯川は専門用語満載の長ゼリフタイムに突入。直前まで和やかに笑い合っていた3人が、カメラが回り始めた瞬間スッと役に入っていく姿も圧巻だった。よどみなくセリフを言い続ける福山だったが、本当に珍しく一度だけセリフを噛んだ時には、柴咲がかわいらしくニッコリ。後半にかけ会話のスピードは加速し、複雑な実験の様子がテンポよく切り取られていった。
撮影合間に監督と和やかに談笑している福山の姿も幾度となく見られたが、当然ながらその時の福山と湯川とは全くの別人だ。「今回はゲラゲラ笑っている湯川の姿もありますが、あれは紛れもなく湯川。1mmも福山さんの素の部分はないんです。福山さんも湯川もある種の天才ですが、福山さんは誰よりも湯川という人間を理解している。監督もそれは十分に分かっていて、完全に信頼されていると思います」(プロデューサー)現場で言葉を交わすことも多かった2人だが、クランクインして2週間が過ぎた頃、福山から監督へジャージのプレゼントが。現場での監督は常にスタイリッシュなジャージ姿が定番だが、それには理由が。「監督は一度撮影に入ると作品のことしか考えられないので、毎日何を着ていこうかと考える時間も惜しいのです。福山さんはそれをご存知で、監督がいつも着ているブランドの2パターンのジャージセットをプレゼントされていましたね」もちろん監督は翌日から、そのジャージをしっかりと着用して現場に臨んでいた。
実はアクロバティックだった“なみきや”
台本の約8Pにも及んだ町の定食屋=なみきやでのシークエンスは、大勢の登場人物を1人1人観客に紹介する意味も持つ非常に重要なポイント。事前に全員で2回もの通しリハーサルを行ったが、「ものすごくアクロバティックなシーンでした」とプロデューサーは振り返る。撮影中もナマの舞台劇を見ているようなライブ感にゾクゾクさせられたが、すべてにおいて監督の緻密な演出力がここでも発揮されていた。「食堂にいる全員が同時進行で芝居をしているリアルな風景なのですが、あくまでも映像なので映画的に必要な音などは絶対に聞こえないといけない。全員のコンビネーションが1秒でもずれたり、誰かと誰かの声が(被ってはいけないところで)被ったりしてしまうと、シーン自体が成立しなくなってしまうんです」なみきやはクオリティの高い素晴らしいセットではあったが、決して広くはない店内ではカメラアングルも限られ、必然的に役者陣は何度も同じ芝居を同じテンションで繰り返すことを余儀なくされた。ナチュラルに見える会話劇だが、1人としてアドリブはなく一字一句が台本通り。「監督は頭の中にすべての画が出来上がっている人なので、現場ではそれにいかに近付けるかという作業をしているように見えます」そんな中、地元民であふれるなみきやにすっかりなじみ、楽し気に料理をつつきながら、日本酒をクイッとあおる姿が粋な湯川。変人ではあるが、決してツンケンした冷淡な人間ではないのだ。だが湯川がなみきやに通い詰める理由は、他にもあった……。
その後賑やかななみきやの光景が、突如乱入してきた蓮沼の存在で一気に張り詰めたものに豹変する。場の空気が一変し、全員が蓮沼を激しい憎悪の目で見つめるが、湯川だけはひとり冷静だ。テスト段階から全員が120%の熱演を見せ、激しいアクションも全力でやり切る。ものすごい空気の中、平然と食事を注文しタバコをふかす蓮沼の異常なふてぶてしさが際立つシーンでもあるが、「カット」がかかった後、自らが荒らした場を眺めて「すごい光景だな……」とつぶやいていた村上の姿も。蓮沼がなみきやを立ち去る直前、ほんの一瞬湯川と蓮沼の視線が交錯する印象的なカットも深い余韻を残した。
コロナ渦の中断を乗り越えて――
大勢の登場人物の思惑が複雑に絡み合い、湯川がジリジリと事件の真相に近付いていく後半は、撮影も必然的にシリアスな芝居場が多く現場はさらなる緊張感に包まれていった。ある人物を疑っていることを否定しない湯川に、草薙が強い衝撃を受けるシーンでは、福山、柴咲、北村の3人は前シーンのつながりで自然と会話を交わしながら、当該のシーンにカットインしていく。誰が言い出したわけでもない神がかった息の合い方に、シリーズの歴史と深い信頼関係を垣間見た気がした。そして最終的にある容疑者を取り調べることになる草薙の慟哭。激しく机をバンバン!と叩き、やるせないいら立ちを露わにする北村の熱演には、唾を飲み込むのさえためらわれるような緊迫感が辺りを支配していた。
撮影は順調に進み、残すは大がかりなパレードシーンのみ……となったところで、コロナ渦が本隊を直撃。ロケ地の静岡県牧之原市に突如緊急事態宣言が発令され、大人数でのロケが不可能となったのだ。だが年が明け2022年の4月に、ようやく撮影が再開。あいにくの雨と4月とは思えない肌寒さに悩まされつつも、大勢のエキストラさんを無事総動員しての撮影が行われた。「撮影の思い出で一番最初に思い浮かぶのが、このパレードシーン。撮影の数日間はバスの路線まで変えていただき、公道を封鎖しての大規模なロケをさせていただきました。寒い中露出の多い衣裳で踊ってくれたダンサーの方々、撮影に協力してくださった地元エキストラの方々には本当に感謝しております」(プロデューサー)
湯川も沿道の客にまじって、にこやかにパレードを見学。福山自身も最後まで笑顔を絶やさず、常に周囲を気遣いながら、長かった撮影の日々を無事乗り越えた。
最後にプロデューサー陣に本作への想いを聞いた。
「前作は(ドラマと比較して)“大人ガリレオ”とも言われましたが、今回は映画の中では一番エンターテイメントの要素が強いかもしれません。湯川が“実におもしろい”と言うかも含めて、TVと映画の両方の世界観を持った作品になっていると思います」
「監督のポリシーとして、例えドラマを一度もご覧になっていない方が映画を初めて見ても楽しめるものにしたいと。今回もこの映画単体でも楽しめますし、シリーズとして見ても素晴らしいものに仕上がっていると確信しております」

福山雅治 柴咲コウ・北村一輝 飯尾和樹 戸田菜穂 田口浩正 酒向芳 岡山天音 川床明日香 出口夏希 村上淳 吉田羊 檀れい 椎名桔平 原作:東野圭吾「沈黙のパレード」(文春文庫刊) 脚本:福田靖 監督:西谷弘 音楽:菅野祐悟 福山雅治 主題歌:KOH+「ヒトツボシ」(アミューズ/ユニバーサルJ) 製作:大多亮 荒木宏幸 中部嘉人 エグゼクティブプロデューサー:臼井裕詞 プロデューサー:鈴木吉弘 大澤恵 山邊博文 撮影:山本英夫 照明:小野晃 美術:清水剛 装飾:田口貴久 整音:瀬川徹夫 録音:藤丸和徳 編集:山本正明 VFXスーパーバイザー:田中貴志 選曲:藤村義孝 音響効果:大河原将 スクリプター:佐山優佳 助監督:村上秀晃 制作担当:三浦吉弘 製作:フジテレビジョン アミューズ 文藝春秋 FNS27社  制作プロダクション:ギークサイト  配給:東宝